弁護士に支払った相談料は勘定科目では何に該当するの?

企業や個人事業主であれば弁護士に相談料を払ったり、税理士に顧問料を支払ったりすることは珍しいことではありません。しかし、その相談料や顧問料が勘定科目では何に該当するかと聞かれると、返答に悩んでしまうかもしれません。

そこで今回は、弁護士などに相談料を支払った場合が勘定科目の何に当たるの、仕訳の仕方や注意点などについて紹介します。

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弁護士への相談料は「支払報酬料」

例えば、企業や事業主として弁護士に訴訟手続きや法律相談をしたり、税理士に確定申告の手続きを依頼したりする場合があります。すると、弁護士や税理士へ払った相談料や顧問料を記帳することになります。その際に使う勘定科目は、支払報酬料という費用グループです。

支払報酬料とは、支払手数料の中で報酬を処理するときに使う勘定科目のことです。支払報酬もしくは報酬と表記する場合もあります。ただし、一度使用した勘定科目を途中でコロコロと変えないようにしましょう。報酬と手数料では性質が違うので、特に区別する目的で支払報酬料という勘定科目は使われます。

また、こうすることで年始に作る報酬などの支払調書や毎月納付する源泉税を管理しやすくなるメリットがあります。ちなみに、支払手数料は金融機関の振込手数料や不動産の仲介手数料、弁護士や税理士に支払う報酬や顧問料などの処理で使う費用勘定です。

法人・個人ともに使用される勘定項目になります。支払手数料は、損益計算書では一般管理費に分類される手数料です。なお、手数料は源泉徴収の対象とはなりませんが、報酬は源泉徴収の対象となります。さらに、個人事業主として開業している士業の人に報酬を支払う時は、請求金額から源泉所得税を控除した残額を支払う場合があります。

なおかつ、請求金額は消費税を含めた額になります。そして、先ほど控除した源泉所得税は預り金として記帳して、後で納税します。納付期限は支払い月の翌月10日までで、税務署に納付しなくてはいけません。費用グループの仕分けをする場合、発生は左側の借方に、取消は右側の貸方に記帳します。

なお、法人は所得税ではなく法人税を納税するので、源泉徴収はいりません。

具体的にはどのように仕分けするの?

弁護士へ法律相談をし、相談料を支払ったとします。その時の報酬は100,000円で、源泉所得税の10,000円を控除した90,000円を現金で渡しました。すると、左側の「借方」には「支払報酬」として「100,000」と記入し、右側の「貸方」には「現金」で「90,000」と記入します。

さらに、弁護士へ実際に支払ったのは源泉所得税を控除した残額なので、後で納付する源泉所得税は一旦預かっていることになります。そのため、右側の「貸方」に「預り金」として「10,000」と記帳しましょう。

その報酬に源泉徴収が必要かどうかを確認すること!

報酬には、源泉徴収が必要なものと必要ではないものがあります。源泉徴収が必要なのは、士業などの専門家に支払われる報酬です。これは、所得税法204条1項2号や所得税法施行令320条2項に記載されています。源泉徴収額は、1回の支払額の10.21%か20.42%になる場合と、1回の支払額から1万円を引いた額の10.21%か20.42%になる場合があります。

源泉徴収額が支払額の10.21%か20.42%になるのは、弁護士や公認会計士、税理士や社会保険労務士です。他にも、弁理士や測量士(補)、建築(代理)士や不動産鑑定士(補)の報酬などが該当します。源泉徴収税額が1回の支払額から1万円を引いた額の10.21%か20.42%になるのは、司法書士や土地家屋調査士や海事代理士です。

なお、税率が10.21%になるのは100万円以下の報酬、20.42%になるのは100万円を超える場合です。さらに、源泉徴収がいらないのは、行政書士や原稿料やデザイン料、講演料や10万円未満のソフトウェア開発の費用です。

支払報酬料は決算ではどこに該当するの?

財務諸表では、「損益計算書」の中の「経常損益の部」の内で、「営業損益の部」の中の「販売費及び一般管理費」に該当します。また、所得税の青色申告決算書の経費欄には記載されません。ただし、弥生会計では標準設定となっているので注意しましょう。

支払報酬料について注意すべきことは?

企業が一定の要件を満たす報酬や料金、契約金や賞金を支払った時には、支払調書を作成して税務署に提出しなくてはいけません。他にも、支払報酬料は消費税法において課税取引になるので注意が必要です。また、支払報酬料は消費税の仕入税額控除の対象となります。

例えば、勤務中に交通事故にあって相手とトラブルになり弁護士に示談交渉を頼んだ時など、業務を遂行する時に発生したトラブルを解決するのに弁護士へ支払った報酬は必要経費や損金に算入することが出来ます。逆に、譲渡所得の課税処分取り消しを求めて審査請求をした際に税理士に手続きを依頼した時など、所得税関連の審査請求手続きで税理士に支払った報酬は必要経費や損金に算入されません。

さらに、審査請求が認められて課税処分が取り消され、還付加算金があった時でもこれに関わる必要経費や損金とはなりません。ちなみに、報酬と一緒に交通費や調査費を請求された場合、報酬と同時に処理しても問題ありません。

しかし、報酬の名目が違ってくるので注意しましょう。相手方にそれぞれ請求させるのではなく、自分の方で直接支払った分を該当の勘定項目ごとに分けて処理することになります。司法書士が登録免許税や登記事項証明書の申請手数料などを立て替え払いしている場合は、これらは租税公課で処理されます。

なぜなら、登録免許税などは報酬とは全く異なるからです。また、役所などに支払う手数料を消費税の仕入れ税額控除の対象に入れていないか入念に確認しましょう。そもそも、弁護士への相談料は給料に該当するのではないかと考えるかもしれません。

このように考える人は、弁護士や税理士などは顧問としてしばらく仕事をしているため、その会社に所属する社員へ支払う給料と同等の扱いと見なすのでしょう。しかし、弁護士や税理士などは依頼人とは全く所属の異なる人たちなので、相談料などの報酬を給料として処理してはいけません。

他にも、支払報酬料と外注費の違いについても注意が必要です。外注費とは、営業職や事務処理、修理加工や建設業の個人事業主などへ「委託」をした時に使うものです。限られた期間で人材派遣を依頼した時も、外注費に該当します。

つまり、外注費とは一般的な仕事を委託した時に支払うもので、支払報酬料とは士業などの専門職へ支払うものです。

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